韓国生産と中国生産、どちらを選ぶ? アパレル生産地を決めるときの判断基準【韓国生産編】
海外でアパレル製品を生産しようと考えている方、またはすでに海外生産をされている担当者の方からよく聞かれる質問の一つが、
「韓国で作るのと、中国で作るのはどちらがいいですか?」
というものです。
日本のアパレルメーカーの担当者の方と話をしていても、
「当然、中国で生産した方が製造原価は安いでしょう?」
と考えている方は多いように感じます。
もちろん、中国生産には中国生産のメリットがあります。
ただ、実際に韓国と中国の両方で生産をしていると、すべての商品が中国で作った方が安いわけではありません。
商品や数量、素材、仕様、納期などによっては、韓国で生産した方が価格も納期も有利になることがあります。
今回は、私が普段どのような基準で韓国生産と中国生産を使い分けているのか、まずは韓国生産から説明してみたいと思います。
韓国アパレル生産のメリット

韓国生産の大きなメリットの一つは、生産のスピードです。
韓国では比較的狭いエリアの中に、生地市場、付属市場、縫製工場、そしてプリント、刺繍、洗いなど、アパレル製品を作るために必要な加工工場が集まっています。
そのため、生産担当者が現場へ直接行って説明したり、仕上がったものをその場で確認したりすることができます。
他の国では、依頼する側と工場との物理的な距離によって数日かかるようなことでも、韓国では1日もかからず処理できることがあります。
韓国内のアパレル生産は昔に比べるとかなり減りましたが、それでもまだ一定の生産需要があります。
そのため、生地や付属などの価格も極端に高いわけではありません。
また、生地はヤード単位で購入できるものも多いため、必要な数量に合わせて原材料を手配することができます。
短い移動距離で素早く生産できること。
そして必要な分だけ原材料を手配できること。
この二つが、人件費が決して安くない韓国でも、比較的合理的な価格でアパレル製品を生産できる理由の一つだと思います。
韓国生産にも不得意なものはあります。

もちろん、韓国生産がすべての商品に向いているわけではありません。
韓国の縫製工場は10人下の小規模な工場が多く、高価な最新設備を多数導入して大量生産を行うような工場はそれほど多くありません。
そのため私は、Tシャツ、パーカー、スウェットなどのカットソー製品や、比較的縫製難易度の高くないアウターなどは韓国で生産することが多いです。
このような商品では、数量によっては中国生産より韓国生産の方が納期と価格の両方でメリットが出ることがあります。
意外に思われるかもしれませんが、小ロットのカットソー製品の場合、中国で生産すると韓国より時間がかかり、価格も韓国と同じくらい、場合によっては高くなることも珍しくありません。

中国の生地を使って中国で生産したり、わざわざ韓国の生地や付属を中国へ送って生産したりする必要がなければ、私はカットソーやディテールの少ない商品については韓国生産を選ぶことが多いです。
日本のアパレルメーカーが、
「韓国生産は日本生産より価格を抑えながら、短納期で対応しやすい」
と言う理由の一つも、こうした韓国独特の生産構造にあります。
海外生産で品質問題が起きる理由
ここからは、よく「海外生産のデメリット」と言われる品質について少し説明したいと思います。
その前に知っておいていただきたいのが、日本とは少し違う海外のアパレル生産現場と縫製工場の特徴です。
- 縫製工場にもレベルがあります。
私は韓国だけではなく、海外で縫製工場を見るときも、大きく3つくらいに分けて考えています。

- 工賃は安いが、品質管理や縫製品質に不安がある工場
- 一般的な価格と品質だが、商品によって品質にばらつきが出ることがある工場
- 工賃は高くなるが、それに見合った安定した縫製品質を出せる工場
もちろん、すべての工場がきれいにこの3つに分かれるわけではありません。
ただ、海外の縫製工場を見るときには、このように考えると分かりやすいと思います。
皆さんが私たちのような韓国のアパレル製造会社へ依頼した場合でも、日本のアパレルメーカーを通して依頼した場合でも、最終的にはこうした縫製工場のどこかで商品が作られます。
海外生産を検討される方の多くは品質を心配されますが、同時に製造原価を下げることも大きな目的だと思います。

実際、インターネットで韓国や中国生産のアパレルOEMの会社を検索すると、「安い価格」を最初の営業ポイントにしている会社も多く見かけます。
しかし、価格を下げるためには当然どこかでコストを削らなければなりません。
その結果、工賃の安い工場を使うことになり、品質問題につながるケースがあります。
もちろん、品質の良い工場でも人が作業していますので、ミスが起きることはあります。
ただ、それがたまに発生する問題なのか、同じような問題が何度も繰り返されているのかは大きな違いです。
もし極端に安い製造原価と無理な短納期を求めているのであれば、ある程度の品質リスクが発生することは避けにくいと思います。
しかし、一般的な生産価格を支払い、ある程度の品質を求めているにもかかわらず、同じような問題が何度も繰り返されるのであれば、韓国の会社であっても日本の会社であっても、私は一度生産先を見直した方がいいと思います。
また、日本のアパレルメーカーが韓国で商品を生産する場合、韓国の製造会社へ再委託して生産するケースも一般的です。
当然、その間に会社が増えるほど、それぞれの会社の利益や管理費も必要になります。
その中で製造原価を下げようとすれば、実際に商品を作る工場の工賃も下げなければならない場合があります。
では、その価格の中で皆さんが依頼した商品は、実際にどのような工場で作られているのでしょうか?
海外生産では、単純に「韓国だから」「中国だから」と考えるのではなく、実際にどのような工場で生産されているのかを見ることも大切だと思います。
- 工場にはそれぞれ専門分野があります
もう一つ重要なのが専門性です。

多くのアパレル製造会社が「専門性」をアピールします。
しかし実際には、すべての商品を同じレベルで生産できる工場はほとんどありません。
工場にはそれぞれ得意な商品と、そうではない商品があります。
問題になるのは、専門ではない商品を無理に生産した場合です。
例えば、カットソーを専門にしている工場で一般的な布帛製品を生産するケースです。
伸縮するカットソー素材と、基本的に伸縮しない布帛素材では、縫製方法、使用する設備、縫製の難易度などに大きな違いがあります。
カットソー工場でも、デザインによってはシフォンブラウスや簡単なワンピースなどを合理的な価格で生産できることがあります。
しかし、一般的な布帛製品を専門外の工場で生産すると、設備や縫製方法の違いによって品質が大きく落ちることがあります。
こういう場合、
「もう少し工賃を払うので品質を上げてください」
と言っても、簡単には改善できません。
その工場はカットソー生産については優れた技術を持っていても、布帛製品については専門ではないからです。
これは韓国でも中国でも、どこの国で生産しても同じです。

その商品をきちんと作れる工場で生産すること。
当たり前のようですが、実際のアパレル生産では非常に重要なことです。
韓国生産がすべての商品に向いているわけではありません
ここまで韓国生産について書いてきましたが、私はすべての商品を韓国で生産するのが良いとは考えていません。
商品の種類、生産数量、使用する素材、縫製仕様、必要な設備、求める品質、そして納期によっては、中国で生産した方が圧倒的にメリットがある商品もあります。
逆に、
「中国で作った方が安いと思っていたけれど、実際に計算してみると韓国生産とそれほど変わらなかった」
という商品もあります。
私が生産地を決めるときに一番重要だと考えているのは、
韓国と中国のどちらが優れているかではなく、その商品をどこで作るのが一番合理的なのか
ということです。
そして生産国だけではなく、
その商品に合った工場で作っているのか。
これも同じくらい重要です。
韓国生産についてだけでもかなり長くなってしまいましたので、中国生産については次回に続けたいと思います。
次回は、実際に韓国と中国の両方でアパレル製品を生産してきた経験から、
「私はどんな商品なら中国生産を選ぶのか?」
について書いてみたいと思います。
中国生産についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
→ 韓国生産と中国生産、どちらを選ぶ?【中国生産編】