東大門生地市場 – 韓国アパレル生産の出発点
日本人観光客にとって、タッカンマリや卸売衣料(おろしうり いりょう)の街として親しまれている東大門は、かつてのような世界アパレル生産の絶対的な地位ではなくなったものの、今も韓国アパレル産業の中心地です。
東大門という地域には大きな特徴があります。
日本では生地、副資材、パターン作成、縫製工場がそれぞれ別々の場所にあることが多いですが、東大門ではそのほとんどを徒歩圏内で解決することができます。
生地市場を中心に、パターンメイキングから縫製、染色、プリント、刺繍、特殊ミシン加工まで、多数の小規模工場が集積しており、衣服づくりに関するほぼすべての工程を東大門という地域内で完結させることができます。
特に小ロット生産や短期間でのサンプル開発が必要なブランドにとって、東大門は今でも最も重要な生産拠点の一つです。
生産量が多い商品の場合は海外で生産されることがほとんどですが、韓国国内で生産される多くの衣類は、東大門総合市場の生地や副資材を使用して作られています。

皆さんがご存じの韓国ブランドもその例外ではありません。
これまで数多くの国内外のブランドがこの地を利用してきました。
そして現在の韓国アパレル産業の強みである、素早い対応が可能な生産システムも、この東大門の生産生態系を基盤として築かれてきました。
当社も東大門総合市場のすぐ近くに拠点を構えており、
韓国生産だけでなく、中国生産の際にも東大門の生地や副資材を積極的に活用しています。

特に日本ブランドが好む原材料や副資材は、中国では見つけることが難しい場合が多く、東大門で調達した資材を中国へ送って使用するケースも少なくありません。
東大門総合市場はA棟、B棟、C棟、D棟の4つの建物に分かれており、それぞれの棟や階によって取り扱う生地の種類が異なります。


また、想像以上に規模が大きく複雑なため、韓国へ頻繁に出張される日本のアパレル関係者でも、一人で市場を回る方はほとんどいません。
というのも、韓国のアパレル企業の新入社員であっても、
毎日東大門へ通うことを前提として、およそ半年から1年ほど経ってようやく効率的なルートを組み、限られた時間の中で要領よく仕事を進められるようになります。

市場業務は一見簡単そうに見えますが、実際にやってみると非常に慌ただしく、常に時間との勝負になります。
いつ頃からかは分かりませんが、最近では日本国内での生産においても、東大門の生地を輸入して使用するケースが増えているように感じます。
私は20年以上にわたり日本ブランドの生産に携わり、
ほぼ毎日のように東大門へ通ってきました。
その経験から言えることは、中小規模のアパレル生産において、東大門総合市場と東大門という地域は、価格、スピード、品質の面で、今なお十分に魅力的な存在であるということです。