/ アパレルOEM

アパレルOEMのサンプルは、なぜ1回で完成しないの?

アパレルOEMで使用する生地やサンプル

「サンプルは1回で完成しないの?」

「修正サンプルは何回くらい作るの?」

初めてアパレルOEMを利用する方からすると、最初のサンプルで完成形に近いものが出来上がると思われるかもしれません。

もちろん、1回で問題なく進む場合もあります。

 

でも実際には、1stサンプルを確認して、いくつか修正を加えてから量産へ進むことも珍しくありません。

では、なぜ最初からイメージ通りのサンプルを作るのが難しいのでしょうか?

今回は、アパレルOEMで修正サンプルが必要になる理由について、できるだけ分かりやすくご紹介します。

 

1.平面のデザインと、実際に着た時の見え方は違う

アパレルの商品企画では、参考にしたい商品をベースにしながら、デザインや素材を変えて全体の雰囲気をイメージしていくこともよくあります。

写真やデザイン画を見ながら、

「こんな感じの商品にしたい」

とイメージを膨らませていくわけです。

でも、デザイン画ではきれいに見えていても、実際に服にしてみると、

「あれ? 思っていた感じと少し違う……」

となることがあります。

 

その理由のひとつが、デザイン画や写真は基本的に「平面」ですが、実際に服を着る人の身体は立体だということです。

身体にはさまざまな凹凸があるため、平面上ではきれいに見えたデザインでも、

実際に服にして着用すると、想像していたシルエットと違って見えることがあります。

 

だからこそ、実際にサンプルを作って着用した時のバランスを確認することが大切です。

 

2.生地が変わると、同じパターンでも見え方が変わる

同じパターンを使っていても、生地を変えるだけで服のシルエットや雰囲気は大きく変わります。

生地にはそれぞれ、

厚み、伸縮性、ハリ、落ち感(ドレープ感)

など、さまざまな特徴があります。

そのため、同じパターンでも生地の特性によってシルエットが変わったり、仕上がり寸法に差が出たりすることがあります。

また、同じ生地でもカラーによって染色条件や加工条件が異なるため、収縮率に差が出る場合があります。

特にストレッチ性のある生地では、こうした差が仕上がり寸法に影響することもあります。

「参考商品と似た生地を使えば、同じように仕上がるのでは?」

と思われるかもしれません。

 

でも実際には、デザインの変更や追加、生地のわずかな違いなどによって、仕上がりにも少しずつ変化が出てきます。

そのため、修正サンプルを作りながら、シルエットやサイズなどを少しずつ整えていく作業が必要になります。

1stサンプルは、最初から100%完璧なものを作るというよりも、

「自分が作りたい商品に近づけていくための最初の基準」

と考えていただくと分かりやすいと思います。

 

3.「イメージ」を数字に変えていくのがサンプル修正

「もう少しゆったりさせたい」

「袖を少し短くしたい」

「ポケットをもう少し上にしたい」

アパレル生産に慣れていない方であれば、このような感覚的な表現で伝えることも多いと思います。

 

もちろん、最初はそれで大丈夫です。

ただ、実際に工場で生産するためには、その「もう少し」を具体的な数字に変えていく必要があります。

たとえば、

身幅 +2cm

袖丈 −1.5cm

ポケット位置 +1cm

というように、誰が見ても同じ基準で作業できるようにしていきます。

「首まわりが少し窮屈に見えるので、もう少し広くしてください」

「丈をもう少し長くしてください」

「袖を少し短くしてください」

といった感覚的な指示だけでは、人によって「少し」の捉え方が違ってしまいます。

 

そのため、

どの部分を、どの方向に、どれくらい修正するのか。

これを仕様書やサンプルに具体的な数字で記載していくことで、

伝達ミスを減らし、工場でもスムーズに作業できるようになります。

 

サンプル修正は、単に気になるところを直すだけではありません。

「イメージ」を「量産できる仕様」に変えていく作業でもあります。

 

4.修正サンプルは「前回の修正が反映されたか」を確認するため

サンプル作成は、だいたい次のような流れで進んでいきます。

1stサンプル → 修正点を確認 → パターン修正 → 再サンプル → 修正内容を確認 → 量産へ

ここでよく聞かれるのが、

「サンプルは何回作れば完成しますか?」

という質問です。

でも、私たちはサンプルを作ること自体を目的に、

サンプルを作っているわけではありません。

最終的に希望する商品を量産するために、

本生産前に試作品を作って確認しているのです。

 

もし1stサンプルを確認して問題がなく、

そのまま量産できるのであれば、もちろん1回で終わることもあります。

逆に、確認してみて修正したい部分があれば、

パターンや仕様を変更してもう一度サンプルを作ります。

 

そのため、

「必ず2回作ります」

「必ず3回必要です」

と決まっているわけではありません。

大切なのはサンプルを作った回数ではなく、

前回の修正内容がきちんと反映されていて、

現在のサンプルの仕様のまま量産へ進んでも問題がないか

ということです。

 

5.1回で完成させることより、量産前に問題を見つけることが大切

サンプルを作るということは、

自分がイメージしているデザインを実際の商品にしていく作業です。

でも、それだけではありません。

実際に作ってみることで、

それまで気づかなかった問題を見つけるための工程でもあります。

 

たとえば、

縫製仕様によって思ったような形が出なかったり、

選んだ生地や副資材がデザインに合わなかったり、

実物を作って初めて分かることは意外とたくさんあります。

 

ですから、1stサンプルで修正点が見つかったからといって、

必ずしも「サンプル作りに失敗した」ということではありません。

 

むしろ、量産前に問題点を見つけて修正できることも、サンプリングの大切な目的です。

また、サンプルとして1枚を縫うことはできても、

縫製工程が複雑すぎたり、作業効率が悪かったりすると、

量産時の工賃が想定以上に高くなってしまうこともあります。

 

つまり、

「1枚作れる」=「問題なく量産できる」

とは限らないということです。

サンプリングでは、こうした問題をひとつずつ確認しながら、

必要に応じて縫製仕様を変更したり、生地や副資材を見直したりして、実際に量産できる方法を探していきます。

結果的に2~3回程度のサンプリングでまとまることも多いですが、デザインや素材、修正内容によって回数は異なります。

 

問題があるにもかかわらず、

「時間がかかるから」

「何度も作るのは面倒だから」

という理由で確認を十分にしないまま量産へ進んでしまうと、

量産後にもっと大きな時間とコストがかかってしまう可能性があります。

 

特に、生地を変更・追加した場合や、縫製仕様を変更した場合には、できるだけサンプルを作って実際の仕上がりを確認しておくことが大切です。

 

サンプル1枚を修正するのと、

量産した500枚を修正するのでは、意味がまったく違います。

 

だからこそ、量産を急ぐことよりも、

サンプルの段階でしっかり確認しておくことが大切です。

 

 

 
 

サンプルは良かったのに、 量産で品質が落ちるのはなぜ?

アパレルOEMの小ロット生産は、 なぜ1枚あたりの単価が高くなるの?